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遺言書がない場合のリスク
―「何もしないこと」が、家族に重い負担を残します ―
遺言書がないまま亡くなった場合、財産は自動的に分けられるわけではありません。
残された家族は、まず「誰が相続人なのか」を確定し、その上で「誰が何を相続するか」を全員で話し合って決める必要があります。
この手続きがスムーズに進まないと、時間も手間もかかり、家族の関係が悪化する原因になることもあります。
遺言書がない場合の相続の基本的な流れ
- 死亡の確認と届出(死亡届・火葬許可など)
- 相続人の調査(戸籍収集など)
- 遺産の調査と財産目録の作成
- 遺産分割協議(相続人全員の合意が必要)
- 協議書の作成と署名・押印
- 名義変更や口座解約などの手続き
この流れのうち、「3~5」が特に時間がかかり、トラブルの温床になりがちです。
遺産分割協議の難しさ
遺言書がないと、法定相続人全員での話し合い=遺産分割協議が必要です。
ここで一人でも反対する人がいると、話はまとまりません。
感情のもつれや連絡の困難さが大きな障害となります。
そのような場合には、裁判所での調停や審判に進むことになります。
よくあるトラブル事例
「介護してきた自分が多くもらうべきだ」と不満を訴えられた
- 介護による貢献度を相続分に反映させるのは非常に難しく、争いになりやすいです。
- 入居している施設の費用を立て替えていた場合、その支払った分を差し引いてほしいという希望がかなわない場合もあります。
- 介護していたのが相続人の長男の妻だったとき、彼女自身は法律上の相続人ではないために遺産を受け取る権利がありません。「特別寄与料」を請求できますが、実際に認められるには高いハードルがあります。
「法定相続分通りでないと納得できない」と反発する人
- 法定相続分とは、民法で定められた遺産を分ける際の基本的な指針です。しかし、相続人全員が合意すれば、どのように分けてもかまいません。
- 生前の支援や介護などが考慮されることなく、「兄弟平等」が当然だと主張する人が現れることがあります。
- 生前に贈与や援助してもらったことを考慮しないで分けるように言われることもあります。
- 感情のもつれにより、分配の内容が信用できないというために揉める場合もあります。
「疎遠で連絡も取りづらい相続人がいる」場合
- 遺産の分割協議には、相続人全員の合意が必要です。しかし、所在が不明だったり、連絡が取りにくいと協議が滞ってしまいます。
- 不仲で連絡が取れない、または、取りづらい場合も協議が進まないことになります。
家や土地を「売るか住むか」で揉めている
- 相続財産が実家しかない場合、「売るか住むか」で対立に発展することがあります。
- 住みたい人が、代償金を支払えないと、他の相続人に不満が残るために合意が難しくなります。
- 名義を共有にした場合、将来売却や修繕する際にトラブルとなる場合があります。
- 自宅を相続したため、現金は他の相続人が相続したために生活費に困ることもあります。
「遺言があれば防げた」相続の争い
上記のようなトラブルも遺言書があれば、ほとんどの場合で避けられることができます。
遺言書には、次のような効果があります。
- 相続の配分が明確になる
- 相続人以外(内縁の配偶者や子どものいない兄弟姉妹など)にも財産を遺せる
- 財産の名義変更などの手続きがスムーズに行える
- 「遺言執行人」を指定することで、手続きを代行してもらえる
- 法定相続分では不公平と感じるようなケースでも、配慮を反映できる
| 遺言書がない場合 | 遺言書がある場合 | |
|---|---|---|
| 相続方法 | 相続人全員で協議が必要 | 内容が明確、協議不要なケース多い |
| 相続人以外への配慮 | できない | 遺贈で対応できる |
| 名義変更・手続き | 書類がそろわず手続きが停滞する | 遺言執行人がスムーズに対応可能 |
| トラブルの可能性 | 高い(感情の対立が起きやすい) | 低い(意思が明確に示されている) |
| 家族の負担 | 大きい | 小さい |
遺言がないことのリスクを、いまから回避するために
「うちは揉めないから大丈夫」――
そう思っていても、実際に相続をめぐる争いは、仲の良い家族ほど深刻化することがあります。
自分の想いと、遺された家族への配慮をしっかり形にするためにも、遺言書の作成は、「もしも」のときに備える最後の家族への贈り物です。
あなたの意思を形にする第一歩として、遺言書の作成を考えてみませんか?
